要 旨：本論での、「覚醒」とは、『新明解国語辞典』によると、「目がさめること、迷いからさめること。自分の間違いに気づくこと。」という意味であるが、この論文の中で、「人間は本来自由、平等、解放な権利を持っていて、でも、古い封建制度の下では何もない。よって、その人間の権利を得るために、内心の戦争は激しくなってきた。」という意味で使用する。
キーワード：島崎藤村；巴金；文学；因循姑息
日本は世界一流の経済大国である。現在の日本はアメリカに次いで世界第２位の国民総生産を誇り、一人あたりは世界第３位に位置している。と同時に、日本の科学技術、文化教育及び文明程度が非常に発達している。でも、こんなに各方面で発達している国家で、封建社会の古い意識も残っている。家庭制度や長男相続などがある。この全然違う生活方式は不思議なことながら同時に出てきた、即ち、内心の覚醒と因循姑息の並存である。矛盾の中で、人々の生活はどのようになっているのか。
また、「因循」とは、同じく『新明解国語辞典』によると、「古くから習慣、方法を守ているだけで、積極的に改めいようとしない様子」という意味である。中国で、「因循」と言う語には、「何かに対して、依存、対応してゆくこと」をいう。
この内心の覚醒と因循姑息の併存の現象は社会の各方面でもでてきた。それは、歴史的な面から言えば、明治維新が深くかかわっている。1868 年、日本におけるブルジュア革命として明治維新が勃発した。明治維新を契機に、日本は近代国家建設へ第一歩を踏み出した。幕府以後、外から欧米資本主義列強が 迫ってきており、内には資本主義的な経済機構が発達してゆき、自由と解放を求める民衆の動きも見られた。そのような状況下にあって、知識人たちは、人間平等、民主独立、自由民権、科学思想尊重の合理精神をゆきわたらせようと努力した。欧米から先進的な資本主義文明と日本固有の伝統的封建思想、特に、江戸時代の身分制度の間に、激しく挑戦に応じる。古いものを守る一方で、新しい資本主義文明も強い興味を持っている。これらの現象は、特に、文学界への反映がとても鮮明だ。
